昨日から2日間、杉並区議会臨時議会が招集されています。
社会医療法人「河北医療財団」は先月、杉並区の40代女性について、過去3回にわたり健診などで肺がんの疑いを見落としていたと発表しました。女性は今年5月に肺がんと診断され、6月に逝去。区は本事案の重大性を鑑み、新たな再発防止策を講じることとなりました。公正かつ中立な立場で専門的な知見に基づき検証等を行うこととし、新たに外部の委員による検証委員会を設置するとしています。
今回の臨時議会は、そのために招集されたものです。
昨日は、本会議で「杉並区肺がん検診外部検証等委員会条例」と、それに伴う補正予算の2議案が上程されました。
前者は保健福祉委員会に、後者は総務財政委員会に付託。
次いで両委員会が開かれ、私は総務財政委員会委員として審議に臨みました。
が、ここで、思わぬことがわかったのです。以下、時系列でご覧ください。
〇5月7日 杉並区、河北健診クリニックから本事案(本年1月に実施した杉並区肺がん検診において、見落としの可能性が判明)について口頭で報告を受ける。本事案の重大性を鑑み、肺がん健診事業を委託している杉並区医師会を通じて報告するよう求める。
〇5月8日 杉並区、杉並区医師会から河北健診クリニックの第一報の報告を受ける。内容が簡略であったため、より詳細な報告を要請する。しかしながら、河北健診クリニックから、河北医療財団の院内検証委員会が終了するまでは対応できない旨の回答を受ける。
〇その後、21日間が経過。ここがポイントです。覚えておいて下さい。
〇5月29日 クリニックの回答を待つ間、6月から開始する今年度のクリニックでの区肺がん健診について、区と医師会で協議し、二次判定・総合判定は、医師会で行う実施体制に変更することとする。
〇6月19日 区、医師会を通じて財団の院内検証委員会報告書を受け取り、本事案の全容(見落としが確定)を把握する。
〇6月26日 午後5時から約1時間、河北健診クリニック院長・河北総合病院院長、被害者女性の代理人および家族に面会、謝罪。その後、本人の容態急変。同日夜9時前、本人逝去。
こうして、杉並区肺がん健診における見落としと、その結果としての区民死亡という、あってはならない事態に発展してしまったのです。
亡くなられた方のご冥福をお祈り致しますとともに、ご家族の方々にお悔やみ申し上げます。
さて、21日間が経過というところがポイントだと記しました。
この間、区は医師会を通じてしか、クリニックからの報告を要請していませんでした。
直接、要請することができたにもかかわらず、です。
私は、この21日間の区の姿勢は問題があるのではないかと、委員会上で指摘致しました。
今回の事案を教訓として、今後は、こうした専門性の高い事案こそ、区は積極的にイニシアチブを発揮し、事に当たって頂きたいとも要望致しました。
役所も医師会も、現場の病院や医師も、まだ情報は「縦」に流れるものだと思っているのですね。
もう、そういう世の中ではないのです。
2018年08月22日
杉並区肺がん健診における見落とし事案とその後の対応について
posted by 田中ゆうたろう at 07:43| Comment(3)
| 日記