2016年06月02日

過ちを改むるにはばかることなかれ

東京23区内のある町に、古い塚が残されています。塚の名前は現在、町の名前の起源にもなっていますが、ここでは伏せておきます。
塚の由来は諸説あるそうですが、もともと大小2基あり、大正時代、この土地の地主であった某家がそのうちの一つを取り壊したところ武具が見つかり、その後、その家の当主と工事担当者が奇病に取りつかれ、武具を埋め戻したところまもなく快復したことから、残された塚の上に神社が創建されたとのこと。
なかなか興味深いエピソードです。

ところで、先月、杉並区長から突然、「すぎなみ保育緊急事態宣言」なるものが発せられました。
マスコミ報道でご存知の方も多いと思いますが、この宣言には「公園等の一部を聖域なく活用し、保育所として転用します」との文言が記されています。
ここで言う「公園等の一部」とは、「公園等における敷地の一部分」という意味にとるのが普通でしょう。

しかし、実はまったく正反対の意味だったことが、この宣言から数日後に策定された「待機児童解消緊急対策」の中で示されることになりました。
向井公園(杉並区下井草)が、敷地をまるごとつぶして認可保育所に転用する予定であることが、判明したのです。
つまり、杉並区が持つ「一部の公園等」をつぶすという意味だったのです。
これ一つ取ってみても、この「緊急事態宣言」には区民の目を欺くためのゴマカシがあることがわかります。


さらに見逃せないことは、この「緊急事態宣言」では、平成29年4月待機児童予測値を500人超としているのに対し、そのわずか数日後に策定された「緊急対策」では、すでにこの数字が560人超と、12%も膨れ上がっていることです。
誤差というには大き過ぎる数字です。これでは、根拠がないと言っているようなものです。


理解に苦しむところは、他にもあります。
「緊急事態宣言」によれば、平成27年4月1日現在の認可保育園整備率は23区中20位であることが強調され、保育所整備の必要性を訴える重大な根拠とされているようです。ここで言う認可保育園整備率とは、就学前児童人口に対する認可保育所定員数の割合を指しているそうです。

しかしながら、就学前児童を預かる保育施設は、認可保育所がすべてではありません。
園庭のない保育施設の子供達はもちろん、区立・私立の幼稚園の子供達。
そして、他ならぬ認可保育所の子供達にとっても、公園は不可欠の遊び場なのです。
また小中学校、高校の児童生徒にとって、どれだけ公園の存在が必要とされているか。
もちろん、保育園児もじきに小学校に上がる日が来るのです。
さらに、公園を必要とする大人も数多くいることを忘れてはなりません。夜間や早朝に公園を利用する方々も大勢おられます。お年寄りやハンディキャップをお持ちの方々にとっても、公園は生活していくために欠かせない大切な場です。


質の高い住宅都市を標榜する当区が、こうした区民共有の財産をないがしろにして許されるはずがありません。「苦渋の決断」「断腸の思い」など、人を馬鹿にしたような空しい区長や役人達の言い訳はもう聞き飽きました。

認可保育園整備率が23区中下位に甘んじているという、ただその一事をもって、公園の敷地一部(杉並区久我山の久我山東原公園や、同区高井戸西の高井戸みどり公園)、向井公園に至っては敷地全部をつぶして認可保育所に転用することは、認可保育所増設の大義のもとであれば他の行政需要を犠牲にしてもいっこうに構わないという、言わば「認可保育所絶対主義」「認可保育所至上主義」「認可保育所原理主義」とも呼ぶべき甚だ乱暴な態度であると思います。

確かに、待機児童解消が自治体に課せられた責務であることは理解しています。
しかし、だからと言って何をやっても良いのでしょうか。行政とは、果たしてそんなに単純なものなのでしょうか。


「待機児童解消」と言えばどんな暴挙も許されてしまい、「そろそろ立ち止まろう」「ちょっと見直そう」などと言い出すこともはばかられる雰囲気。今さら勇気をもってそんなことを言い出そうものなら、「働く女性を認めないのか」「女性の社会進出を阻むのか」「伝統的な家族観にいつまでしがみつくのか」などと袋叩きにされる雰囲気。

先の「緊急対策」は、先月突然開かれた臨時議会において、当事者である地域住民に知らされる前に、杉並区議会自由民主党、杉並区議会公明党、区民フォーラムみらい、いのち・平和クラブ等諸会派の賛成多数により、可決してしまいました。
あえて言いますが、近ごろの杉並区は、戦争に突入する国家、あるいは突入してもずるずると止められない国家に似てきました。
権力者の独裁と、それを野放しにする翼賛体制の思考停止というものを、私は最近、現区政の姿から真面目に連想しているのです。

どう控えめに表現しても拙速の極みであり、この緊急対策を容認することは、今なお断じてできません。

このままでは、地域で子供を育てるどころか、確実に区民の間に深い禍根を残します。
これまで手足のごとく、水や空気のごとく、自分達の生活の場として親しんだ公園を、ある日突然、区長の待機児解消の大号令のもとに奪い去られるやり場のない怒り、悲しみ。
今回の強引な区の進め方によって地域に残った傷が簡単に癒えると区当局は考えているのでしょうか。これだけの住民の反対の中で建てられる保育所に通う子供の気持ち、保護者の気持ちを区当局はどう考えているのでしょうか。
もちろん、住民の方々も好き好んで反対しておられるはずがありません。地域で子供を育てたいお気持ちはやまやまでしょう。やまやまだからこそ、反対せざるを得ないのです。この辛い苦しいお気持ち、役人は理解できるでしょうか。

子育ての考え方、ご家庭のおかれた事情は一様ではありません。
ニーズも多様です。
多様であることを認めてもらいたい。
公園をつぶすということが、皮肉なことに、子育て環境の質の低下をかえって招いてしまうということに、どうか気付いてもらいたい。
気付けるか、気付けぬか。杉並区は、今ここに正念場を迎えています。
地域の理解が得られない中での園生活を親や子供達に送らせないためにも、そのことを杉並区は今少し自覚したほうが良いと思います。


冒頭に、古い塚のお話をしました。その土地の地主さんも、「壊せば何かあるなどという科学的な根拠があるわけでもない。苦渋の決断、断腸の思いだが、時代の進展を思えばやむを得ない」と思って取り壊したことでしょう。その結果は先に述べました。残された塚は、現在、立地区の指定史跡になっているとのこと。
こうしたエピソードを見るにつけ、なるほど、聖域というものは確かに存在するのだと思い知らされます。
先日の夜も、向井公園では、中高生が父親とともに運動を楽しんでいました。また久我山東原公園では、近づいた火星を見に来たという久我山小学校の4年生が、「ここはみんなの絆と思い出の場所。木と木の間や鉄棒をゴールにしてサッカーをしたりリレーをしたり、この公園があったからこそできたこと。保育園を増やしてという声もわかるが、ここがなかったら俺たちの遊び場はどうなる?こっちの気持ちも考えて」と話してくれました。
こうした光景こそ、私は杉並区の聖域であり、命がけで守り抜かねばならぬものと思います。
過ちを改むるにはばかることなかれと、昨日の定例会一般質問を通じて杉並区に訴えました。

公園を贄(にへ)に子らこそ救ふてへ まことの贄は子らにぞありける

posted by 田中ゆうたろう at 23:43| Comment(15) | 日記
この記事へのコメント
久々の更新、お疲れ様です。
やっぱり、前回のエントリは言いっぱなしで終了か。予想はしてたけど残念。
反ヘイトさん並みにぶれない姿勢ですね。

でも、本エントリの論旨には概ね同意します。
公園を奪い去られることへのやり場のない悲しみ、とかは、大袈裟じゃないかとは思うけど…。
少なくとも、今回の太字箇所はまともに見えます。笑笑笑笑笑

>そして、他ならぬ認可保育所の子供達にとっても、公園は不可欠の遊び場なのです。

本当。その通りなんですよ。昼間に区内を散歩すれば、保育士さんたちが子供達を連れて公園で遊ばせてる光景を見かけることもあるでしょう。
公園潰して保育園は、まったくもって理解ができません。
そして報道では、今回の保育園増設に反対してるのがゲートボールできなくなる老人、のように、杉並の老害が待機児童問題解消を阻んでいるかのような印象操作が見受けられるのも、悲しいです。

ただ、なんでも反対では55年体制の社会党になってしまいます。待機児童問題は事実としてあるのですから、小規模保育とか幼保一元化の推進とか、なんらか対案を進めていかないとですよね。
それは直接的な区議の仕事ではないのかもしれませんが。

なかなか難しい問題です。
Posted by 一げっと人形 at 2016年06月03日 12:12
介護施設の経営者がピンハネをしたり不正会計をしてるのを見過ごさないでください!!

http://bakusai.com/thr_res/acode=8/ctgid=104/bid=762/tid=4713009/tp=1/

凄く地方の掲示板ですがこのレスポンス見て政治家としてどう感じられますか?
Posted by at 2016年06月03日 23:28
杉並区長は民主系だったよね?

民主に任せると子供の居場所を潰して保育園にしちゃうんだね。

子育て支援のためなら子供を犠牲にしてもいいのか。

さすが日本○ねって言っちゃう奴らだわw

Posted by at 2016年06月04日 05:30
公園とは名のごとく「公の民」が集まる事の出来る「園」である。
人が少なくなったとか使う人が少なくなったとか言われても公のために必要が有り長年かけて整備されてきたはず。待機児童ばかりが子供か?
小学生の園は学校内だけではなく帰り道にも必要でした。
幼稚園生だって親子の大切な場として使っている。
ましてや大災害の時にはほとんどの公園が多くの大人、子供たちの一時避難所となる事も忘れてはならないはずだった。
杉並区の現区長はそんなことは気にしていないのでしょうかねえ。
Posted by 公園ファン at 2016年06月06日 16:12
この欄には皆さん書き込まないのね。
内容に同意してるってこと?
Posted by 炎上ない? at 2016年06月09日 12:28
>杉並保育園反対派からメッセージが来たので、反論します(駒崎弘樹)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/komazakihiroki/20160607-00058573/

駒崎は子育てよりも、自分とこに入る補助金が大事なんだね。
自分のしんぱ
Posted by at 2016年06月09日 14:51
ごめん、続き。

自分のシンパにも攻撃してる(笑)
ヤバイだろ?

Posted by at 2016年06月09日 14:53
「禊」は済んだのか?(笑)
ほとぼりが冷めたから、ブログ再開ってか?
笑わすなよ!
Posted by at 2016年06月10日 03:49
今回の公園潰して保育園はさ、区長の暴走ってのは確かなんだけど、

@民主・中核派(田中区長のバック)が主導

A自民・公明は区長のポチ

B右翼・共産etcが絶対反対!

という構図なんだよ。

前の炎上は左翼連合が頑張ったけど、今回は左翼が分裂して、ウチゲバ状態になってんの。

そんで、次世代系が共産と共闘してるのさ。

杉並はカオスだな(笑)




Posted by at 2016年06月10日 14:41
田中ゆうたろう先生を全面的に支持します。

いつも問題課題をわかりやすく説明いただきありがとうございます。
Posted by at 2016年06月13日 08:49
>Posted by at 2016年06月10日 14:41


だから今回は右翼議員の地元はほぼ無傷なのかな?

もしかして、、ゆうたろう、、まさかの、、、グッジョブ?
Posted by 地元民 at 2016年06月14日 23:43
3/13付の投稿に関して、
「便所の落書き発言」の件について、きちんとここで「謝罪と弁明」を書けよ。
升添の一件で「世論の注目」がそちらに集中してしまったから、いつの間にかアンタの「暴言」も忘れ去られた訳だ。「人のうわさも七十五日」とは良く言ったものだ。
「何もなかったかのような」雰囲気で、偉そうに発言しんじゃねぇよ!
まずは、区民に対してきちんと謝罪をしろ!
弁解があるなら聴いてやるから。
逃げるなボケ!
Posted by at 2016年06月17日 03:33
>逃げるなボケ!
無理じゃん?「過ちを改むるにはばかることなかれ」とか、相変わらず自分のこと棚にあげたタイトルだし。はばかる以前に炎上騒ぎを過ちと思ってないんですよ、きっと。
改めて、ブログ主はすごい神経だと思います。
Posted by 一抹人形 at 2016年06月20日 17:27
前回の炎上騒ぎは本人には全く意味のないものになっているのでは?
私には良い経験になりましたが。

このような場合は、形式的でも騒ぎになったことには触れるべきかと考えますが…
とても太い神経を持っていらっしゃるようですね、
非常に笑わせていただきました。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉があるように、本人にとっては少し熱めの湯でしかなかったのですね。
このやり方だと「時間が経てば無視できる程度の出来事だった」と公言してるようなものではないか?と思うのです。
Posted by Anonymousな高校生 at 2016年06月21日 02:05
自称高校生ってさ、こないだ論破された奴だよね?(笑)

共産じゃなくて中核の工作員だったのか。

共産党員、元気ないぞ!がんばれー\(^^)/

Posted by at 2016年06月25日 06:36
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